宮城県災害支援ナースとは

宮城県災害支援ナースとは、宮城県看護協会に登録し、宮城県看護協会が必要と認めた場合に派遣する看護職です。

災害支援ナース登録手順

  • 宮城県看護協会員であること
  • 保健師・助産師・看護師・准看護師の資格を持ち、実務経験が5年以上であること

上記の条件を満たしたうえで、災害支援ナースに登録していただくためには、下記の順番で研修を受講していただく必要があります。研修日程は宮城県看護協会ホームページで各自確認をお願いします。(H29年度の災害支援ナース育成研修・基礎編は7/19~20、実践編は10/28を予定しております。詳細はこちらをご覧ください)

災害支援ナース登録手順

災害支援ナースマニュアル

はじめに

前マニュアル作成後数年を経て、より実践での活用を目指し委員会で実践マニュアルの検討を重ねてまいりました。そのような中、2011年3月11日東日本大震災が発生しました。

この度委員会が目指したのは、より実践的な内容、携帯可能なサイズです。災害支援ナース育成研修の内容も多く盛り込みました。

今後大いにご活用いただき、これからの支援活動をはじめお役に立つことを願っています。

平成25年12月

 

I 災害支援ナースについて

1. 災害支援ナースの役割

災害支援ナースは、被災者が健康レベルを維持できるように適切な医療・看護を提供する。また、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるよう努める。

2. 災害支援ナースの活動の場所

原則として被災した医療機関・社会福祉施設・福祉避難所を優先する

3. 派遣時期と派遣期間

  • 派遣時期:発災後3日以降から1ヶ月を目安とする
  • 派遣期間:一人の活動期間は原則として、移動日を含め3泊4日とする

4. 望まれる資質

  • 行動力:目の前にある事象に対して、まず行動できる
  • 実行力:自分の考えや行動を実行に移すことができる
  • 協調性:チームや周りと協力関係がとれる
  • 人間関係調整力:災害という非日常の環境の中で、看護をスムーズに展開するための精神的なフォローを含めた関係調整がとれる
  • リーダーシップ:自己完結型で展開することや災害被災者の看護には、リーダー的資質が必要とされる
  • 臨機応変の対応:災害時には予想外の出来事が多く発生するため、その状況に合わせた対応が必要とされる
  • 主体性:指示や要求を待つのではなく、自ら考えて行動できる
  • 心身の健康:災害の事故によっては、機構の変化や、伝染病の発生の可能性、避難所における環境や睡眠・食事などに対応できる体力と精神力が必要
  • 看護の専門性:避難所支援においては、救急看護やトリアージ、内科、外科、精神科、慢性疾患、地域看護、看護管理を含め幅のひろい看護が必要とされる
  • 判断力:予測困難な事象に対して看護を展開していくために常に判断力が求められる

II 派遣要請までの流れ(災害支援ネットワークシステム)

日本看護協会災害支援ネットワークシステム

日本看護協会災害支援ネットワークシステム

III 災害支援ナース活動

1. 準備

  • (1)「自己完結型」の心得で参加する
  • (2)家族や職場の協力を得る
  • (3)体調を整える

2. 役割

  • (1)変化した環境の中で暮らす被災者への生活支援
  • (2)被災地の医療機関施設で働く看護職員の交代要員
  • (3)その他災害現場で必要と判断される医療活動

IV 支援活動に必要な物品

用途 持参した方が望ましい物 状況によって持参すると役立つ
支援活動を行う 自分のアイデンティファイ 災害支援ナース登録証
看護職免許証コピー
看護協会会員証
所属機関の身分証明書
健康保険証のコピー・名札
腕章
ゼッケン(所属を明示した物)
活動に使う物 血圧計・ステート・体温計
ペンライト・筆記用具
災害発生 初期:ゴム手袋・衛生材料・懐中電灯
中期以降:ウェットティッシュ
活動場所別 医療機関:ナースユニホーム
避難所:
ポケットタイプ内服薬辞典・電卓・電子血圧計
身を守る 自分の身を守るため 予防衣(エプロン)・マスク
携帯用アルコール消毒剤
自分用の常備薬・雨合羽・手袋
季節 冬季:防寒具・使い捨てカイロ
夏季:
帽子・長袖シャツ
使い捨て吸熱シート
虫除けスプレー
携帯袋 ウエストポーチまたはリュック ショッピングバック(巡視相談)
生活する 履き慣れた靴または運動靴(靴底の厚い物)・トレーニングウェア スラックス・長袖シャツ・靴下 ナースシューズ・スリッパ
季節
冬季:
重ね着できるアンダーウエア
ウインドブレーカー上下
夏季:洗濯・乾燥しやすい物

携帯食・糖分補給用捕食・ ビタミン・カルシウム補給食品
洗面用具・タオル・洗濯ロープ
洗濯はさみ・洗濯用洗剤
娯楽用品(本・ゲーム)・現金
寝袋
情報源を確保する 現地地図(交通路線図入り)・ 携帯ラジオ・テレホンカード ポケットサイズテレビ
携帯電話類
(日本看護協会:先駆的保健活動交流促進事業「災害看護のあり方と実践」1998より引用)

留意点
1)持参する物は、災害の状況や発生後の時間経過、季節、活動場所等により判断する。
2) 自分自身が支援活動を続け、自己完結型で滞在・移動ができる身支度を行う。
3) 持参する物には所属・氏名を書く。

V 支援活動の実際

1. 支援活動の基本

1)最初に行うこと
  • (1)到着後看護協会に到着の連絡をする
  • (2)指示された活動場所で受け付け、自己紹介をする
2)心構え
  • (1)個人情報に留意して迅速に情報収集をする
  • (2)被災地の心理的回復プロセスの特徴を理解して行動する
  • (3)自分から出向く姿勢を心がける
  • (4)被災者に関わる場合は当面のニーズに焦点を当てて話を聞く
  • (5)状況・必要に応じて臨機対応に対応していく
  • (6)こちらの「したいこと」が被災者にとって必要なことであるとは限らない
  • (7)支援者の批判はしない
  • (8)コミュニケーションを大切にする
3)態度
  • (1)活動は安全確保のため2人で行う
  • (2)活動場所においては医療班やボランティアと協力して看護ケアをする
  • (3)組織内で自分の役割を明確にしながら活動する
  • (4)住民ニーズの集約や継続支援に繋げるために記録を残す
  • (5)原則マスコミの対応はしない
  • (6)避難所で行われるミーティングに参加する

2. 支援内容

1)生活環境への支援
  • (1)冷暖房などの温度調整や換気、照明、騒音の配慮
  • (2)居室・トイレの清掃、ゴミの始末
2)食生活への援助
  • (1)
    高齢者、乳児、体調不良や消化器機能の低下している人、高血圧や糖尿病・透析患者等慢性疾患をもつ人に対する食事メニューの調整
  • (2)水分補給への援助
  • (3)食事介助
3)保清・排泄への援助
  • (1)介助を要する人に対する入浴介助
  • (2)入浴できない人への清拭・洗髪
  • (3)おむつ交換等の排泄介助
4)睡眠・プライバシーの確保に対する援助
  • (1)不眠やストレスへの原因の把握
  • (2)個人スペースの確保
  • (3)更衣室・静養室の確保
5)活動に対する援助
  • (1)基本的生活リズムを整える
  • (2)運動不足解消のため活動の場の確保
  • (3)多目的スペースの確保
6)精神面への援助
  • (1)災害ストレス反応への理解を示す
  • (2)話し相手になる
  • (3)定期的な巡回相談、声かけ
  • (4)交流の場作り
7)健康管理
  • (1)
    被災者の健康チェック「バイタルサイン」「睡眠状況」「食事摂取状況」「内服薬に関する状況」「住居の状況」など一人一人具体的に行う
  • (2)災害関連疾患(腰痛、エコノミー症候群など)への対応
8)感染予防
  • (1)風邪、インフルエンザ、食中毒、下痢、嘔吐、小児感染症
  • (2)手洗い、うがいの励行、換気
  • (3)予防接種の情報提供、声かけ
  • (4)賞味期限の確認、食べ残しの食品の管理
9)二次災害予防
  • (1)避難地区、避難方法の確認
  • (2)盗難他

VI ストレスチェックと自分自身のケア

災害業務に従事される方は、業務量のオーバー、長時間勤務、悲惨な光景の目撃などによって、様々なストレス反応がおきることがあります。普段以上に、ご自分の健康管理やストレスケアを大事にしましょう。

ご自分の健康状態をチェックしましょう

  • 調子の悪い所はありませんか?
  • 睡眠や食事は取れていますか?
  • 疲れやストレスを溜め込みすぎていませんか?

休憩、休息、休養を

  • 長く働くためにはしっかり休み、エネルギーを回復させる必要があります 持病のある方、普段から服薬している人は、これまで通りに通院、服薬を
  • 業務に追われて自分のことは後回しにしていませんか?

リフレッシュ、リラックスの時間を

  • 軽めの運動、音楽、入浴などご自分にあった方法を。親しい人との時間を大切に。

飲みすぎには注意!

  • アルコールには眠りを妨げる作用があり、翌日まで残るとだるさによる日中の活動低下を招きます

仲間同士でお互いの経験や気持ちを話してみましょう!

  • 災害業務に従事すると、被災者から怒りをぶつけられることがあります。(*それは、あなた個人に向けられた怒りではありません。)また、被災者の深い悲しみに接することがあります。
  • 辛くなった時、1人で抱えこまず、仲間同士で話をしてみましょう

(宮城県精神保健福祉センター「災害対応に従事されている方へ」より引用)